全国生協組合員の日常外部被ばく線量調査結果について

調査の概要

コープふくしまでは2014年4月5日から4月30日の期間、福島県立医科大学関係者の助言を受けつつ、全国10生協(12都道県、76市町村、102名)の協力を得て、日常生活における外部被ばく線量調査を行いました。調査方法は線量測定器(商品名 Dシャトル)を各自1週間(7日間)身につけていただきました。各生協の調査協力者数は福島県が12名、福島県以外は各生協10名(測定器手配の都合)でした。
このたび、測定結果が集約できましたのでご報告させていただきます。

1.調査結果概要(表)

全国生協組合員の日常線量調査集計表
生協名 都道府県名 市町村名 7日間線量合計
(マイクロシーベルト)
屋外
滞在時間計(時間)
有効
データ数(人)
富山県生活協同組合 富山県 高岡市、上市町、滑川市、富山市、入善町 9.8~16.9 15~35 9人
コープふくしま 福島県 相馬市、伊達市、福島市、郡山市、川俣町、二本松市、いわき市 11.5~20.7 2~34 12人
コープみえ 三重県 鈴鹿市、松坂市、紀北町、桑名市、四日市市、名張市、菰野長町、伊勢市、津市 9.4~15.4 7~49 10人
生協ひろしま 広島県 福山市、廿日市市、広島市、呉市、坂町、東広島市 10.4~17.4 12~37 10人
こうち生協 高知県 高知市、須崎市、いの町、安田町、宿毛市 9.9~16.2 7~39 9人
コープみらい 埼玉県 さいたま市、上尾市、春日部市 9.5~10.2 7~25.5 4人
コープみらい 千葉県 市川市、習志野市、松戸市 10.0~12.9 14.5~26 3人
コープみらい 東京都 杉並区、世田谷区、立川市 11.4~17.6 20~24 3人
ならコープ 奈良県 平群町、香芝市、橿原市、大和高田市、大和郡山市、奈良市、河合町、生駒市 10.0~17.1 17~41 10人
コープあおもり 青森県 三沢市、弘前市、平川市、おいらせ町、八戸市、東北町、むつ市、青森市、鶴田町 7.7~10.6 6~33 10人
コープおおいた 大分県 臼杵市、宇佐市、杵築市、大分市、豊後大野市、佐伯市、玖珠町、別府市 8.6~14.7 12~22 10人
コープさっぽろ 北海道 (稚内市)、音更町、北斗市、共和町、釧路市、岩内町、登別市、苫小牧市、遠経町、南幌町 6.6~11.7 7~35 9人
★集計結果のコメント

①1週間合計の積算被ばく線量は、バックグラウンド値(自然界の放射線、米ソ冷戦時代の核実験の放射性物質の残りなど)を含むものです。福島第一原発事故で放出された放射性物質からの放射線も、福島県はじめ影響のある地域ではこの集計表の値に含まれています。

②富山県、高知県、北海道で各1名ずつ異常値がありましたので、その方の分は線量集計表から除かせていただきました。

③異常値について(事例解説)
例として→異常値のあった方お一人(4月14日~20日の7日間測定)の場合、7日間のうち14日、15日、16日の3日間が他の日と比較して異常に高い値となりました。(4月の日別線量率推移グラフA)

<グラフA>
2014年4月線量率の推移

この異常値のあった3日間のうち15日の線量(率)を時間帯ごとに見てみると、夕方の6時頃の時間帯が異常に高いことがわかりました。15日の時間帯ごと線量率グラフを掲示します。(4月15日の時間帯別線量率推移グラフB)他の2日間(14日と16日)も15日同様、夕方に異常値が出ていました。

<グラフB>
2014年4月15日線量率の推移

異常値の原因を考えるために、調査に参加いただいたご本人に行動を確認させていただいたところ、いずれも「犬の散歩か夕食作りをしている時間帯」とのことでした。

※グラフBの18時の1時間の異常値は、電子レンジ等の電磁波の影響を受けたのではないかということが推定されます。(なお、この測定器開発に関わった専門家の話では、すべての電子レンジに反応するものではないようです)

2.調査結果の解説

調査目的は福島第一原発事故により撒き散らされてしまった放射性物質に起因する外部被ばく線量が、福島県民にとってどの程度のものなのかを福島県以外の地域と比較して捉えることで、福島県民の日常生活の判断材料の参考にしていただいたり、福島県への誤解が軽減されるための一助けとなれば幸いと思ってのことでした。

屋内と屋外滞在時間は、調査に参加されたすべての地域で概ね似たような時間数でした。日中家庭で過ごす方も仕事をしている方も、屋外で過ごす時間はあまり多くないことが見えてきました(考えてみると、毎日1時間散歩しても1週間で7時間にしかなりません)。

追加被ばく線量(政府が定めた福島第一原発事故による影響目標)は、内部被ばくと外部被ばくの合計値を年間1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)以内とするものですが、年間1ミリシーベルトが安全と危険の分岐点という意味ではありません。

福島県の測定参加者の追加被ばく線量(原発事故による被ばく線量)を試算するには原発事故以前のバックグラウンド値がわかれば良いのですが、今では知ることができません。そこで一つの方法として、1週間の放射線合計値が最も少なかった青森県の参加者の平均値(あるいは中央値)をバックグラウンド値とみなして計算することも一つの合理的方法です。この方法で福島県内調査参加者の中で最も大きい値の方の追加被ばく線量を計算してみると以下のようになります。
(20.7μSvー8.8μSv)÷7×365=620.5μSv=0.62ミリシーベルト(追加被ばく線量)

⑤ご自身の物差し作りの材料の一つに・・・このように計算することで、現在の行動パターンで生活していると、どれだけの追加被ばく線量になるかを捉えることができます。ご覧になられた皆様個々人の放射汚染に向き合う物差し作りの参考材料にしていただければ幸いです。

全国生協組合員の日常線量調査集計表

全国生協組合員の日常線量調査集計表
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